私は中学の教科書などをよく音読しました。
昔の同時通訳者の国弘正雄さんは教科書を500回とか1000回音読したらしいのですが、田舎の中学生だった私に「音読しなさい」とアドバイスする人は誰もいませんでした。
普通教科書は2、3回黙読して、単語の意味と発音をチェックして先に進むという勉強方法でよかったはずなのですが、私はなんとなく自然に10回とか20回授業の範囲の英文を音読していたのです。
中学・高校の頃、この音読が将来どう影響するのか全く考えたこともなく、ただ音読が好きだったのでひたすら音読し続けていました。
その習慣が大学卒業後にアメリカ留学という思わぬ幸運を私にくれることになるのです。
しかも留学1年目から、学部の学生を相手(アメリカですから、全員アメリカ人!)に論理学の講義をすることになったのです。
音読は受験には不利
最近、一流大学の入試に成功する英語勉強法はこれだ、という受験指南書を読みました。
その本には、日本の一流の大学に合格するためにはひたすら単語を覚え、その数を増やすことが大事だと書いてありました。
文部省の指導要領では、中学と高校の履修語数は約3000語とのこと。
しかし、ある程度名の通った大学に合格するには5~6000語、更に一流大学に合格するには1万語の単語を覚える必要があるというのです…
ひたすら単語の意味を覚えることと音読とは、全く対極にある行動です。
音読はとにかく時間がかかる。何倍も時間がかかります。
音読で英文が体に浸み込んだと感じるには、膨大な時間と忍耐が必要です。
私は中学の1年から英語が好きで、勉強もよくしていたのですが、ほとんど音読に時間を使っていたので高校の実力試験(範囲のない出題)では、成績は振るわなかったものです。 試験では知らない単語が容赦なく出てくるのですから、回答ができないわけです。
ですから当時自分は勉強ができない子だと思っていました。私の同級生も皆そう思っていたと思います。
この年齢になってこの本を読んで、中学生・高校生で音読をよくやる子は受験には不利なんだ…と言うことに初めて気がついたのです。
それでも音読を推奨したい
音読に時間をさくことは受験には不利です。
でも私の経験から言って、本当に英語を身に着けたいと思うのなら音読は絶対に欠かせない行動です。
もしあなたが本気で英語を話せるようになりたいと思うのなら、ぜひ音読をすることをお勧めします。
音読の“功徳”
1)声を出すと、口の筋肉が英語に慣れる。
2)英語の読み方がだんだんとスムーズになる。
3)自分の声で、英語を“聞く”ことになる。
4)英語が体に“浸み込んでくる”。
5)音読の間、英文の意味を想像する。英語のままで意味が浮んでくるようになる。
音読はなるべく大きな声で行いましょう。
発音は最初は気にしなくてもいいです。カタカナ発音でも構わないのです。
音読に余裕が出てきたら、th, r, l, f, vなどの特有の発音に気を付けるようにしていけばいいと思います。